千住博は、幻想的で美しい画風で世界的に知られる日本画家です。
彼を一躍有名にしたのは、1990年代に描かれた一連の巨大な滝の絵。1995年には、そのうちの1つがアジア人のアーティストとして初めてヴェネツィア・ビエンナーレ(ヴェネツィアの国際文化展)に入賞し、芸術愛好家を中心に注目を集めました。
伝統的な日本画の技法を使いながらも、現代的で洗練されたその作品は、令和を迎えた現在も高い人気を誇っています。
千住博が画家になるまで
千住博は、1958年に東京で生まれました。父は工学博士、母はエッセイストというアーティスティックな家庭だったそうです。長男である彼は画家になりましたが、弟の千住明は作曲家となり、妹の千住真理子はヴァイオリニストとなりました。いずれも、それぞれの道で成功を収めています。
千住博が絵を描き始めたのは3歳の頃。家中ところかまわず絵を描いていたそうですが、高校進学までは画家として身をたてるつもりはなく、美術のほかヴァイオリンやピアノ、水泳など興味を幅広く持っていたといいます。
ただ、美術部で描いた絵が学校代表で展覧会に出品されている事実もあり、当時から並々ならぬ画才を持っていたことが伺えます。
高校生活を送るうちに、彼はグラフィックデザインや建築に興味を持つようになり、また岩絵具と出会い日本画を描いてみたいという思いを抱くようになったことから、美大への進学を決意。東京藝術大学に進みます。どの後同大学の大学院へ進み、卒業後は画家の道へ。
彼は東京で育ったこともあり、あるとき新潟で見た山並みに衝撃を受けたそうです。全部違う木が生えていて、それが人間の意図したものでないという事実に驚き、自然と絵のテーマが風景に絞られていったと言います。
伝統技術に裏打ちされた幻想的なタッチが人気の秘密
千住博の作品の大きな特徴は、自然の美を日本画の伝統と現代的な新しさが共存する奥行きのある世界観です。
細密でありながら、その画面には唯一無二の美意識が反映されており、美しさと同時に畏怖や郷愁を感じさせる不思議な魅力を宿しています。青や白を基調とした静謐な風景画があれば、滝を大胆に赤で表現した、原始的なエネルギーを感じさせる作品もあり、見る人間に哲学的なインスピレーションを与えてくれる点も、千住氏の作品が世界中で高い人気を誇る理由の一つでしょう。
高額査定・高額買取が期待できる作品の特徴
シルクスリーンやリトグラフなど、数が流通する版画よりも、直筆の作品の方が高価買取が期待できます。
また、独自の世界観が千住博の大きな魅力ですから、より目の前に迫って感じられる大きな作品の方が高い査定が付きます。
モチーフとしては、代名詞ともいえる滝のほか、仏塔や幻想的な樹影を描いたものが人気です。
千住博の買取価格の例
瀧(日本画) | 300〜400万 |
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ウォーターフォール(リトグラフ) | 50〜60万 |
ウォーターフォール(日本画) | 400万 |
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