社長の代替わりや事業の転換、会社の引っ越しなどをきっかけに、社内に展示していた絵画や美術品を持て余してしまうケースがあります。
主な解決策としては、資産として保管する、関係者へ譲渡する、美術商に売却する、という方法が挙げられるでしょう。
ただ、保管する場合は相応の知識がないと状態を損なう恐れがありますし、第三者に譲るにしても、作品価値を把握しておかないと、後々思わぬトラブルに発展する可能性があります。
美術品や絵画には投資商材としての側面もあり、法人の資産運用や資金調達の一環として活用されることもあるほど。
店舗に持ち込む必要があった昔とは異なり、昨今はスマートフォンで手軽に美術品や絵画を査定してもらうこともできます。保管するにせよ、譲渡するにせよ、売却するにせよ、まず専門家に査定してもらって損はないと言えるでしょう。
本記事では、法人が美術品買取、絵画買取を考えるときに押さえておきたい基本知識を紹介します。
絵画買取・美術品買取業者を選ぶポイント
絵画や美術品の買取業者を選ぶ時、もっとも重視したいのは、やはり査定額でしょう。
ただ査定額は、作家や作品の状態などによって大幅に変動するもの。作品Aが高価買取だからと言って、作品Bにもそれが当てはまるとは限りません。
具体的な数字では、判断が難しいものです。
そこで目を向けたいのが、買取実績として公開されている作品の量やジャンル。買取実績が多ければ、それだけ強力な販路を持っている可能性が高いと判断できます。これを基準に業者を絞り込み、2〜3社に相見積もりを出すのが、高価買取を実現するコツです。
また、自社での買取に加え、オークションへの出品にも対応しているかどうか(オークションハウスと提携しているかどうか)も、チェックしたいポイント。状況によっては、業者に買い取ってもらうよりも有利な条件で売却できる可能性があるからです。
依頼主の希望に合わせて、より柔軟な選択肢を持つ買取業者を吟味しましょう。
買取の主な流れ
依頼する業者によって多少異なりますが、法人の絵画・美術品買取は以下のような流れで進められます。
1. 電話 or メール or LINEで問い合わせ
まず、業者に問い合わせを行います。
電話で問い合わせる場合、やりとりはリアルタイムで進められますが、買取を希望する作品の情報を口頭でしか共有できないため、なるべくなら画像を添付できるメールやLINEを活用することをおすすめします。
また、査定を依頼したい作品が複数存在する場合は、共有しやすいように、事前にわかる範囲で作品情報をリストアップしておくと、話をスムーズに進めることができます。
作品情報とは、例えば以下のような項目です。
- 作家の名前
- 大きさ
- 入手の経緯(いつ、誰が、どこで入手したか)
- その他査定に関係しそうな情報(傷み具合やサインの有無等)
2. 査定
画像や動画で作品の詳細情報を共有できる場合は、問い合わせ時にそのまま査定が行われます。
問い合わせ段階での情報では査定が難しい時、または訪問での査定を希望する場合は、日程を調整の上で改めて業者の訪問を待ちます。
企業として、秘密保持契約が必要な場合は、査定日までに契約書を用意しておきましょう。
3. 見積もり書の提出
査定が終わると、その結果をまとめた書類が提出されます。
共有されるフォーマットや媒体は業者によりますので、もし共有方法に希望があれば、あらかじめ確認しておきましょう。
4. 契約成立
査定金額が納得できるものであれば、契約を結び、代金の振り込みを待ちます。訪問での査定であれば、その場で現金を受け取ることも可能です。
もし、決算などの都合で買取の時期を調整したい場合、事前にその旨を伝えておきましょう。ずれ込む期間によっては作品価値が変動し、再査定が必要になる可能性があります。
ほか請求書による振り込み、領収証の発行など、手続き上の希望があれば、こちらも事前に共有しておくことをおすすめします。よほど特殊な事項でない限り、対応を断られることはありませんが、手続きに時間が掛かることが考えられるからです。
スムーズに取引を済ませるためにも、前倒しで段取りを確認しておきましょう。
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