押し買いという言葉をご存知でしょうか。
押し売りの反対で、不当に安い値で商品を買い取る悪徳商法の一種です。
ターゲットとなるのは、貴金属や高級ブランド品や絵画買取など。わかりやすく恫喝してくるだけでなく、善意に見せかけて言葉巧みに売り煽るなど、さまざまな手口があります。
いずれにせよ、表向きは合意のもとで金銭と物品を交換するため、被害に気付きにくい卑劣な詐欺と言えます。
コロナ禍により在宅時間が増えたためか、国民生活センターに寄せられる訪問買取のトラブルが増加傾向にあるようです。
万が一にも被害に遭わないよう、絵画の押し買いに関する基本的な知識を押さえておきましょう。
気をつけたい変則的な押し買い
インターフォンを鳴らして不用品を買取に来るようなわかりやすい手口であれば、多くの人は引っ掛からないでしょう。
しかし、詐欺師は巧妙です。エアコンの修理や不用品の引き取りなど、表向きは健全なサービスを装って依頼を待ち、いざターゲットから依頼を受けたら合法的に自宅に入り込んで中を物色。本来の依頼とは関係のない物品の買取を持ちかけてくる、という変則的な手口もあります。
また、「いい品だから売却を仲介する」などと言って物品を持ち去ってそのまま音信不通になったり、営業電話で甘い条件での高価買取を謳ったり、詐欺の種類は多種多様です。
ある手口が一般化するとまた次の手口が生み出され、イタチごっこの様相を呈しています。だからこそ、買取事例や口コミ、事業の実態など、信用に足る情報が確認できない業者はそもそも相手にしない。また優良そうな業者でも、少しでも怪しいと思ったら判断を保留する意識を持つことが大切です。
絵画買取詐欺を見分けるポイント
絵画の買取詐欺を見極めるための絶対的な判断基準は残念ながらありません。
ただ業界的によく言われているのが、結論を急がせる人間は怪しい、ということです。
例えば「この値段で買い取れるのは今だけ」「旬が下がったら二束三文に成り下がる」など不必要に煽ってくれる場合には要注意です。
詐欺師はターゲットが検討したり、情報収集したりして、自分の嘘がバレてしまうことを嫌います。焦らせて冷静な判断力を奪い、その先に自分の都合のよい形で取引をまとめようとするのは、彼らの常套手段です。
また、断ろうとする意思を見せているにも関わらず、違和感を感じるほど粘ってくる相手にも慎重に接しましょう。長引く交渉にうんざりし、解放されたいがために相手の口車に乗ってしまうケースも見られるからです。
金銭は客観的に価値がわかりますが、絵画はそうではありません。嫌な時間を終わらせたいがために、隠れた資産を不当に安く奪われてしまう可能性も考えられます。
絵画の買取は場当たり的に判断せず、業者の社会的信用や提供してくれる情報、提示される契約内容などを踏まえて、総合的に検討するようにしましょう。
また、もし取引をする際はきちんと契約書を発行してもらうなど、口約束で終わらせないことが大切です。
万が一被害に遭ってしまったら
万が一被害に遭ったり、不審に思う業者と取引したりした場合は、速やかに警察に相談しましょう。もしいきなり警察に問い合わせをするのが不安なときは、消費生活センター(国民生活センターと連携して運営される地方自治体の機関)などに問い合わせてみてください。
地方自治体によって消費者センターだったり生活センターだったり名称が異なりますが、消費者ホットラインという相談窓口が設けられており、「188」にコールすれば最寄りの該当機関に転送されます。
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